04センバツ甲子園大会 2日目

第1試合 秋田商(希望枠) 10−0 鳴門工業(徳島)

(秋)佐藤(8回)−佐々木洋樹(1回)
(鳴)田中(7回)−八木(2回)
秋田商 10
鳴門工

希望枠で選出された秋田商業が鳴門工業を圧倒した試合でした。
秋田商はエースの佐藤投手は140キロを超えるストレートを投げる本格派投手ながら、
コントロールが良くて安定感が抜群。
バックも打球の正面にしっかり入って捕球し、カバーリングや守備位置取りも完璧。
希望枠で選出されるだけあって、投手・守備ともにトップレベルの力を持っていると思います。

まだ打撃面でもセンター方向を中心に弾き返す基本に忠実な打撃をしていたのが印象的でした。
送りバントは正確で、セーフティーバントもきっちりバントしてからスタートするなど良い所満載。
秋田商の実力がいかんなく発揮された試合でしたね。

簡単な得点経過。
1回表、秋田商は四球・送りバントでランナーを進め、3番菊池選手の三遊間抜くタイムリーで先制し、
ショートゴロの後に1塁ランナーが飛び出してしまうミスがあるものの、送球がランナーに当たって盗塁成功となり、
ショートの送球エラーで2点目を追加します。
続いて6番伊藤選手がレフト前ヒットで繋ぎ、7番渡部選手が右方向へ素晴らしい当たりを打ってライトが後逸、
2点タイムリー3ベースとなって4点目を加えます。
さらに8番鈴木選手が3塁手前への絶妙なセーフティーバントを決めてランナーホームイン、5点目。
9番大高選手のセンターオーバータイムリー2ベース、秋田商が打者一巡の猛攻で6点を先制します。

2回表、秋田商は3番菊池選手・4番吉田選手・5番佐藤投手の三連打でノーアウト満塁のチャンスを作り、
6番伊東選手が叩きつける三遊間抜く2点タイムリーヒットで追加点をあげます。
その後、7番渡部選手のセンター返しのヒットがあったものの、ここはセンターのナイス送球でタッチアウト。

6回表、秋田商は1番佐々木陽祐選手がヒットで出塁し、
送りバント・ショートゴロ・四球で2アウト1・3塁となったところでダブルスチール(?)を敢行。
3塁ランナーを三本間に挟むものの、鳴門工の守備がホーム方向へ深追いしてしまい、
追いタッチの形になってランナーにかわされてそのままホームイン。秋田商が1点を追加。

7回表、1アウト2塁から8番鈴木選手がセーフティーバントを成功させて1アウト1・3塁。
この後にスクイズを外して三本間にランナーを挟むものの送球ミスでセーフ、1アウト2・3塁に。
ここでスクイズを敢行するも、今度は3塁ランナーがスタートできず。
鳴門工は判断誤ってどこにも放れずオールセーフ、1アウト満塁にしてしまいます。
ここでセカンドゴロ併殺コースも1アウトしか取れずにランナーホームイン。秋田商が10点差とします。

秋田商の佐藤投手は7回1アウトまでノーヒットピッチングを見せる安定ぶり。
9回は佐々木洋樹投手がマウンドに上がり、1安打を許すも無失点に抑え、
2安打の完封リレーで秋田商は10−0で勝ちました。


負けた鳴門工業は良い所が全く見られませんでした…
新2年生が多くて経験不足があったのか、送球ミス・判断ミスが多かった気がします。
相手の秋田商が基本に忠実な守備をしていたこともあって、余計にミスが際立ったように思います。
今日の試合を新たな出発として、基本に忠実なプレーを心がけていって欲しいです。

勝った秋田商は前述の通り、基本に忠実なプレーが目立ちました。
打者はセンター返し・正確な送りバント・見事なセーフティーバント、
守備ではボールの正面に入ったり、カバーリングもしっかりしていて、位置取りも上手いと完璧。
基本を徹底しながら、高いレベルでまとまったチームに思えました。
課題は特にありませんが、6・7回のサインミスが気がかり。
攻撃では相手のミスに救われた面もありましたから、
1つのミスが命取りにならないようサインを徹底していって欲しいです。


目立った選手は秋田商業の佐藤剛士投手です。
広島カープが早々に1位指名宣言するだけの投手ですね。プロ野球のオープン戦で投げてても違和感なし。
それだけトータル的にバランスの取れた好投手だと思います。
このまま行けばドラフト1巡で消えるのは間違いなし。素晴らしい投手です。
投球フォームはオーソドックスな本格派投手といった感じ。
足を上げた形が良く、しっかりとタメを作ってスムーズに体重移動をして腕を振り下ろすことができています。
投球フォームが良いので、低めにストレートがズバズバ。コントロールが安定しています。
ストレートは140キロ前後、最速が142キロだったかな? 常時140キロ以上を出す力があります。
今日は雨が降っていたこともあり、中盤からはコントロール重視の投球で135キロ前後で投げていました。
変化球はカーブ・スライダー。スライダーの変化が大きくキレを感じました。
課題としてはセットポジションの投球でしょうか。
ややクイックが遅い印象。ストレートの球速が若干落ちていた印象もあります。
今日はランナーを背負っての投球が少なかったので、次の試合でチェックしてみたいです。
あとは解説の方が言っていた「左肩の開きが少し早いが、腕の振りでカバーできている」という言葉が気がかり。
変化球であまり空振りを取れていませんでしたから、その影響があるのかも。
空振りの取れる変化球が欲しいような気がします。
けれどアウトローのストレートのコントロールは絶妙。もうそれだけでお腹一杯です(^^;



第2試合 福岡工大城東(福岡) 5−0 斑鳩(奈良)

(斑)高間(8回)
(城)日下(8回)−草場(1回)
斑鳩
城東

この試合は序盤3回を映像で見ただけで、あとはラジオ観戦だったということでヨロシク。

斑鳩の高間投手が2回裏にピッチャー返しの強烈な安打性の当たりが左ひざの脛に当たった…
今日の試合はこのワンプレーに尽きます。まさに今日の勝敗を分けたシーンでした。
この故障の影響か、高間投手は下半身を上手く使えなくなってしまい、内角の球が外れて連続死球。
仕方なしに外角中心に投げていった所、ショートのエラーで1失点、長打で3失点…
その後、高間投手は立ち直っていっただけに残念でなりません。
万全だったら1点を争う好ゲームになってたいたことでしょうし…惜しかった…

けれどその2回の4点を呼び込んだのは福岡工大城東のバッティングの力強さ。
6番森川選手の強烈なピッチャー強襲サードゴロです。
そしてワンチャンスをものにした2番日高選手の3塁線を抜く3点タイムリー2ベースなのです。
5安打ではあったものの、この2回のシーンに強打の福岡工大城東が象徴されていました。

簡単な得点経過。
2回裏、福岡工大城東は先頭打者の5番中野選手がヒットで出塁すると、
6番森川選手がピッチャー返しの強烈な打球を打ち返し、これが高間投手の左脛に当たるアクシデント。
この打球はカバーに入ったサードが素早く処理してアウトにするも、高間投手は治療でベンチに下がります。
治療後にマウンドに戻った高間投手でしたが、痛みからか踏み出す左足を庇ったフォームになってしまい、
持ち前のコントロールを失ってしまいます。
インコースに投げた球が外れてしまい、二者連続の死球。1アウト満塁となってしまいます。
外角中心の攻めで浅いセンターフライで2アウトを取るものの、
ショートが大事に行き過ぎてバウンドの変化に対処できず落球エラー、1点を失います。
続いて福岡工大城東の2番日高選手が3塁線を抜く3点タイムリー2ベースを打って、4失点となります。

4回裏、福岡工大城東は3番久場川選手の左中間突破のタイムリー2ベースで追加点を上げます。

守りでは福岡工大城東の日下投手がテンポの良い投球を見せ、斑鳩打線を完璧に抑え込みます。
最後は草場投手が締めて、福岡工大城東が5−0で守り勝ちました。


勝った福岡工大城東は自慢の強力打線が5安打と奮わなかったものの、2回の攻撃は見事でした。
打球の勢いが違ってましたから、バッティングの力強さを感じましたね。
プラス要素としては今まで課題だった投手陣が好投できたことでしょう。
右サイドハンドの日下投手はコントロールが良く、
135キロ近くでるストレート・スライダー・125キロくらいの高速シンカーと変化球が多彩でした。
テンポの良い投球を見せ、8回まで好投しましたから軸として目処が立ったことでしょう。
エースとして一本立ちすることを期待したいです。

負けた斑鳩は昨年同様バッテリーの呼吸の良さが目立ちました。
右サイドハンドの高間投手はコントロールの良いピッチャーで緩いスライダーを効果的に投げていました。
2回に打球を左脛に受けたことで、フィニッシュの踏ん張りが効かなくなってしまい、
大きくコントロールを乱したのが悔やまれます。
それでも中盤以降は持ち前の内外角の投げ分けが出来ていたようですから、良く頑張ったというべきでしょう。
強打の福岡工大城東を5安打に封じたのは素晴らしいです。
バッテリーの良さ・守備の堅実さは相変わらずのようですから、打撃のレベルアップが求められます。
軸となるクリーンアップ、大久保・藤沢・藤川選手らがもっと頑張らないと。
夏には打撃力をアップさせて帰ってきて欲しいです。

目立った選手は福岡工大城東の日下投手、斑鳩の高間投手なわけですが、
中盤以降を見ていないので今回は割愛させていただきます。上記の通りですし。
注目のスラッガー定岡卓摩一塁手(元ダイエー2軍監督の定岡智秋氏の息子、元巨人の定岡正二氏の甥)は
3打数ノーヒットと完全に押さえ込まれてしまった感じです。
斑鳩バッテリーが内角ストレートを見せながら、外角スライダーで打ち取ったり、
ズバッと内角を突いたりと上手く攻めていたようです。
打撃フォームを見た感じだと一本足打法の模様。ちょっと足を上げ過ぎかなと思わなくもなし。
外角の変化球が打てませんでしたから、その対応次第でしょう。次の試合でじっくり見ようと思います。

それにしても福岡工大城東も斑鳩もサイドハンド投手の育成が上手ですね。
福岡工大城東は一昨年の松本投手がいましたし、
斑鳩には昨年牛島投手というコントロールの良いピッチャーがいました。
今日投げた2人の投手と似たようなタイプでしたし、先輩の影響が大きかったのかも。
来年以降も良いサイドハンド投手を連れてきて欲しいです。



第3試合 拓大紅陵(千葉) 0−6 一関一高(21世紀枠)

(紅)伊能(9回)
(関)木村(9回)
紅陵
関一

拓大紅陵の伊能投手、一関一の木村投手の好投手対決は伊能投手に軍配が上がりました。
守備力の差が出たかな〜という印象。
拓大紅陵はナイスプレーを連発していましたが、一関一はエラーをポロポロと。
木村投手はそれで精神的に崩れはしなかったんですが、結果的に球数が多くなってしまいスタミナ切れ。
残念な結果に終わってしまいました。

簡単な得点経過です。
4回表、一関一の木村投手は先頭打者にストレートが高めに抜けてしまって四球を出してしまい、
続く打者の送りバントピッチャー前を2塁へ送球しようとして送球体勢に入ったものの、安全策を取って1塁へ。
この時、1塁ベースカバーに入っていたセカンドが2塁へ投げたものと思い込み、ボールに全く反応せず。
ノーアウト1・3塁のピンチを作ってしまいます。
けれど木村投手は落ち着いて淡々と投げ、内角ストレートで空振り三振で1アウト。
143キロ低めストレートで詰まらせるも、それが災いしてサードゴロ1塁送球、ランナーホームイン。
ここで止めたかったのですが、8番伊能投手に142キロストレートがやや高めに行ってしまい、
詰まりながらセンター前に運ばれるタイムリーヒット、2点を先制されます。

5回表、拓大紅陵の2番中沢選手が一塁前にプッシュバントを敢行、
ファーストが捕球するも意表を突かれてスタートが遅れたピッチャーが間に合わずに内安打。
その後、2塁への盗塁を決めて1アウト2塁とし、
3番石原選手が甘く入ったストレートを捉える左中間へのタイムリー2ベースで1点、
4番氏家選手もセンター前に弾き返して2点を追加します。

8回表、拓大紅陵は疲れの見える木村投手を攻め立て、四球・エンドランセカンドゴロで1アウト2塁とし、
8番伊能投手の三遊間深くに飛ぶラッキーなタイムリーヒットで1点、
1番高橋選手の左中間抜くタイムリー3ベースでこの回2点を追加します。

拓大紅陵の伊能投手はコントロールが安定して打たせて取るピッチングを披露。
一関一を5安打1四球に抑え、完封勝利を飾りました。


結果的に総合力で上回った拓大紅陵の勝ちということですね。
打者はセンター方向を中心に打ち返し、バントや盗塁を絡める総合的な攻撃を披露し、
守備でもナイスプレーで伊能投手を盛り立てていました。
それに対して一関一は稲生投手の低めの変化球ボール球に手を出してしまい、
追い込まれる前に打とうとして凡打の山、最後まで狙いが徹底していなかったように思います。
また守備の方でもエラーを重ねるなどリズムに乗れていませんでした。
投手力は拮抗していたものの、総合力の差で負けてしまったという感じがします。

勝った拓大紅陵は伊能投手のピッチングがお見事。
打者も狙い球を絞るなどチームとして徹底されていました。
この調子で次の試合も戦って欲しいです。

負けた一関一は守備力の徹底を図りたいところ。ピッチャーが良いだけに勿体無いです。
盗塁フリーパス状態でしたし、全体的な守備力の向上を図って欲しいです。
総合的なレベルアップを図り、夏の甲子園大会で帰って来てください。


目立った選手は拓大紅陵の伊能投手、一関一の木村投手です。
拓大紅陵の伊能投手は右のダイエー:和田投手といった印象。
投球フォームが特徴的で足の曲げ方や腕の畳み方が上手です。
もう少し下半身を使えれば和田投手に近くなるかなという感じの投球フォームをしています。
コントロールが全体的にまとまっている投手で、ストレートは130キロ台前半〜130キロ台後半をマーク、
変化球ではスライダーにキレがあり、フォークボールも投げていました。
立ち上がりこそボールが上ずって不安定な感じを受けましたが、
2回以降はコントロール抜群で安定したピッチングを見せていました。
追い込んでからの低めフォークボールが効果的で、一関一打線のバットがくるくる回っていました。
そのせいか追い込まれる前に打とうとして早撃ちに、伊能投手の術中にはまっていましたね。
球数は110球、三振は9という数字がそれを象徴しています。
なかなかに面白いピッチャーが出てきましたね。次の試合が楽しみ。

一関一の木村投手は本格派右腕投手。
178センチとマウンドでもあまり大きさを感じないものの、ストレートの威力・スピード感はピカイチの投手です。
投球フォームはオーソドックスで足を上げた時のバランスが良く、下半身が使えている印象を受けました。
ストレートは常時140キロ前後を計測。最速が145キロだったかな?
十分スピードガンの数字は出ていますが、見た目はもっと速い印象がしました。伸びがあるようです。
変化球はスライダーのキレが良く、小さな変化のカーブも有効的。かなりのピッチャーです。
特筆すべきはマウンド上でのポーカーフェイスぶり。
味方のエラーがあっても、顔色1つ変えずに淡々とボールを投げ込んでいました。
得点を取られても全く慌てる素振りは見られませんでした。
ですからセットポジションの投球も全く変化がなく、ストレートの球威も変わっていませんでした。
むしろピンチになればなるほど燃える投手なのかもしれません。
課題は力みでしょうか。
ピンチでは良いボールがたくさんあったものの、決め球として投げたストレートが真中付近に行ってしまったり、
高めに上ずってしまうケースも多く見受けられました。
力まずにストレートを投げ込むこと、これを課題に取り組んでいって欲しいです。
総合力が非常に高い投手なので、これからの成長に期待したいです。



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