夏の高校野球 甲子園大会 14日目

第1試合 東北(宮城) 6−1 江の川(島根)

(江)木野下(6回)−棚田(2回)
(東)采尾(4回2/3)−真壁(4回1/3)
(本)横田(東北6回裏ソロホームラン)、
 佐藤(東北7回裏ソロホームラン)
江の川
東北 ×

ここまで3試合を投げて1失点と好投していた江の川の木野下投手がついに力尽きました。
序盤は昨日よりもコントロール良かったんですが、同点に追いついてもらった5回裏から抜け球が増え出し、
6回・7回と高めに抜けたスローカーブを捉えられて2被本塁打…
一人で投げ抜いてきた木野下投手でしたが、ついにマウンドを譲ることとなりました。
スローカーブと低めに集めるコントロールを武器にここまで好投してきたんですが…
でもよく頑張りましたよ。今日の試合も終盤までは1点を争う好ゲームでしたし、十分健闘しました。
胸を張って帰って欲しいですね。

一方の東北は木野下投手の失投を見逃さずにホームランにしたのは見事、力がありますね。
また采尾投手・真壁投手は江の川をほぼ完璧に抑え、
怪我のダルビッシュ投手を温存できたのは大きいと思います。
決勝の登板は分かりませんが、真壁投手が投げる度に貫禄増していることで、
投手陣の不安はないと思います。
最後の一戦、全力で戦って欲しいです。

簡単な展開説明。
先制したのは東北高校。
1回裏、東北は2番宮田選手がセンター前ヒットで出塁し、セカンドゴロで2塁へ進塁、
ここで4番横田選手が真中に入ったストレートを見逃さずに打つレフト前タイムリーヒットで1点を先行します。
立ち上がりこそ、甘い球が行って1点を失った木野下投手でしたが、
昨日決まらなかったスローカーブがよく決まり、低めボールゾーンに落とす本来の投球を取り戻します。
バックも木野下投手を支え、4回裏にはピッチャーの頭を越す2塁ベース付近のゴロをセカンドが追いつき、
ナイス送球でアウトにするなど、持ち前の守備力を発揮していきます。
一方の甲子園初登板の采尾投手も堂々としたピッチング。
ストレートを軸にカーブ・スライダーを効果的に決め、4回まで内安打1本という好投を見せます。
しかし5回表、1アウトから6番北嶋選手がセンター前ヒットで出塁すると、牽制を誤魔化しすぎてボーク、
粘っていた7番山野選手を空振り三振に打ち取って、2アウトと2塁としますが、
8番上内選手にストレートが甘く入り、右中間抜くタイムリー3ベースで同点とされます。
ここで東北は真壁投手にスイッチ。
その真壁投手が9番木野下投手を見逃し三振に打ち取って、江の川の反撃を断ちます。

勝ち越しのチャンスながら気のない見逃し三振をした木野下投手、ピッチングもおかしくなっていきました。
ややボールが高めに抜けてしまうという今までになかった投球内容、
先頭打者に四球を出すなど今までの安定感がなくなってしまいます。
5回裏はなんとか0点に抑えたものの、6回裏に4番横田選手にベルト付近にスローカーブが入ってしまい、
レフトスタンドに入るソロホームランで勝ち越し点を、
7回裏には7番佐藤選手に高めに抜けたスローカーブを捉えられてのホームランで2点差とされます。
ここでついに木野下投手が降板、エースナンバーの棚田投手が登板します。
棚田投手は7回こそ抑えましたが、8回は3連打で1点を失い、
6番加藤選手のピッチャーゴロ3塁ランナー三本間挟殺プレーで捕手が悪送球で2点を失ってしまいます。
江の川打線は2番手真壁投手から死球・ショート内安打でランナーを出すのみ。
真壁投手に抑えられてしまい、反撃のチャンスを作れませんでした。
結局、6−1で東北高校が勝利し、決勝へと駒を進めました。


負けた江の川ですが、木野下投手を中心によく守りました。
今日は捕手の悪送球で失点するなど拙い守備もありましたが、
全体としては堅守で好プレーが目立っていたと思います。
打線に力強さはなかったものの、堅い守備力で守り勝つ野球は見事でした。
島根県勢のベスト4入りは80年ぶりだそうで、
この江の川の躍進が島根県全体の野球レベル上昇となれば良いですね。
大阪方面からの野球留学者が多いと聞きますが、島根に住んでいる事には変わりありません。
県外出身選手に県内選手が良い刺激を受けていけば良いこと、これからの島根県に期待をしたいです。

勝った東北は強力打線を擁しているものの、投手を中心とした守りの良さが目立っています。
ダルビッシュ投手の怪我が不安視されてましたが、
その分、黒ぶちメガネが素敵なサイドハンド真壁投手がよく頑張っています。
もう2番手投手ではなく、東北のダブルエースになったと言っていいと思います。
決勝もダルビッシュ・真壁投手の2年生エースコンビで頑張って欲しいです。
相手は試合巧者の常総学院だけに、経験と絶対的な力が必要。
今大会の真壁投手の経験とダルビッシュ投手の力で常総を封じ込めたい所です。
そして東北・北海道地域、初の優勝を達成できるかどうか…明日の決勝に注目が集まります。




第2試合 常総学院(茨城) 6−2 桐生第一(群馬)

(桐)伊藤(4回2/3)−小林(1/3)−藤田(3回)
(常)仁平(2回)−飯島(5回)−磯部(2回)
桐生第一
常総学院 ×

投手の継投策・バントなどの卒のない野球・堅い守備とチーム力の高い2チームの対決は、
長打攻勢を見せた常総学院が勝利しました。
スコア的には6−2なんですが、この試合に関しては常総の大勝と錯覚するぐらいの試合内容に思えました。
序盤は一進一退の互角のゲームだったんですが、4・5回で一気に常総に流れが傾きました。
常総学院は長打攻勢は見事で圧倒されるような打球の勢いでしたし、
何より大きかったのが5回表1アウト満塁で桐生第一の3・4番が倒れたこと、これで試合は決まりました。
この回に桐生第一が点数を入れていたなら、試合の流れは変わっていたと思います。
そこをしっかり抑え、尚且つ、裏の攻撃で2点を追加する辺りが常総の試合巧者たる所以でしょうか。

簡単な試合展開説明。
常総学院の先発は静岡高校戦で好投した仁平投手。
その仁平投手ですが、今日は静岡高校戦のようなコントロールのまとまりがありませんでした。
常にボール先行で持ち味である外角へのシンカーがほとんど決まっていませんでした。
そこを桐生第一が抜け目なく突いていきます。
1回表、2番備前島選手がセーフティーバント内安打(サードやや送球それる)で塁に出ると、
3番藤田選手の左中間へのヒットでランナー3塁へ。
この時、センターが回りこんで打球を捕ってすぐに2塁へ送球し、
2ベースと思い込んでいた打者走者を2塁タッチアウトにします。
これで0点かと思いましたが、4番篠崎選手が甘いカーブを打って左中間へタイムリー2ベースで先制点。
2回表にも先頭の6番倉上選手が高め変化球を打つライトオーバー2ベースヒットで出塁し、
送りバントでランナーを3塁へ進めて、スクイズバントで2点目を取ります。
しかし常総学院も黙ってはいません。
1回裏、1番平野選手がライト線2ベースヒットで出塁した後、伊藤投手のボークで3塁へ進み、
3番坂選手のレフト線への犠牲フライで1点を返します。
勝ち越された直後の2回裏にも、7番大崎選手のレフトオーバー3ベースヒットでチャンスを作り、
8番宮田選手の叩き付けたショートゴロで本塁へ突っ込み、
タイミング的にはアウトだったもののショートが焦って打球をグラブで弾くエラーで再び1点を返します。

3回表からは飯島投手がマウンドに上がり、桐生第一打線を0点に抑えていきます。
すると4回裏、4番松林選手が四球で出塁し、
5番藤崎選手は2球バントファールしながら3バントを成功させてランナーを2塁へ進め、
6番井上選手が伊藤投手の低めスライダーを叩き上げるように打つライトオーバータイムリー3ベースで加点、
さらに7番大崎選手の痛烈なライトライナーで3塁ランナータッチアップ、犠牲フライで2点を奪います。
得点を貰った飯島投手ですが、5回表に最大のピンチを迎えます。
先頭打者に死球を与え、次打者の送りバントを1塁手が判断を誤って2塁送球フィルーダーチョイスで1・2塁となり、
桐生第一の送りバントがサードへの小フライとなったので併殺狙いのワンバウンド捕球をしようとするも、
サードがボールから目を切ってしまい、グラブで弾くミス、3塁アウトのみで1アウト1・2塁、
ここで2番備前島選手が三遊間を抜くヒットを放ち、1アウト満塁で当たっている3番藤田選手を迎えてしまいます。
しかしこの場面は飯島投手が気迫のピッチングを見せ、
藤田選手を外角低めストレートで空振り三振、4番篠崎選手をサードゴロに打ち取ってピンチを凌ぎ切ります。
そして直後の5回裏、2アウトから2番泉田選手がしぶとくヒットを打って出塁し、
3番坂選手があわやホームランというライトフェンス直撃のタイムリー3ベースヒットで加点、
さらに代わった小林投手から4番松林選手が風でレフト前に落ちるラッキーなヒットを打って、4点差とします。
もうこれで試合は決まり。
その後、桐生第一はランナーを出すものの、チャンスを生かせず。
常総学院の飯島−磯辺投手のリレーにかわされて試合終了。6−2で常総学院が勝利しました。

この試合は常総打線の本来の打力が発揮された試合だと言えます。
坂・井上・大崎選手といった左打者が大活躍してくれました。
伊藤投手のような右のスライダーピッチャーは左打者が課題ですからね。
そこを上手く見極めた木内監督が自由に打たせて好結果を呼んだ気がします。
 (試合前に「左打者がポイント」と公言していましたし)
今日は動かなかった采配が成功したという所でしょう。
桐生第一も序盤は良い試合をしていましたが、バント・守備の技術で常総に劣ってしまった気がします。
全国的に見れば桐生第一のバント・守備力は素晴らしいと思います。ただ常総はその上を行っていました。
常総相手という意識や僅かな焦り、ミスが大きく響いてしまったような気がします。

負けた桐生第一ですが、チーム力自体は素晴らしかったです。
基本に忠実な送りバント、堅い守備力は常総学院に次ぐ徹底ぶりだったと思います。
全国制覇時の正田投手のような突出した選手はいなかったものの、
3番でリリーフも務めた藤田選手を中心に総合力の高いチームでした。
ここまで勝ち上がってきたのも納得です。今大会の試合巧者ぶりは印象に残りました。

勝った常総学院は桐生第一を越すチーム力を持っていますね。
送りバント・堅実な守備は素晴らしいの一言です。
ここまでバッティングの調子が上がってませんでしたが、今日は左打者を中心に長打が出ましたから、
一気に調子を上げてきたと見ていいと思います。
決勝に向けてチームが良いリズムになってきてる気がします。
ただ不安要素もなきにしもあらず。今日はエースの磯部投手の調子がイマイチで疲れがあるように思えました。
今日は仁平投手もイマイチでしたし、一番良かった飯島投手は5イニング投げてますし…
投手陣は若干不安が残ります。一日寝てどれだけ疲れが取れるか、明日の状態次第。
木内監督が誰を先発に持ってくるのか、気になる所です。




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