夏の高校野球 甲子園大会 12日目

第1試合 光星学院(青森) 2−0 倉敷工業(岡山)

(倉)陶山(8回)
(光)桑鶴(9回)
倉敷工
光星 ×

光星学院の桑鶴投手と倉敷工業の陶山投手の投げ合いは、光星学院に軍配が上がりました。
1回・5回と数少ないチャンスを光星学院がものにし、
投げては桑鶴投手のコントロールが安定しており、得意のスライダーが冴え渡っていました。
陶山投手は立ち上がり若干コントロールが悪かった分だけ、失点に繋がってしまったように思います。

光星学院は1回裏、1番有木選手が初球から積極的に打ちに出てのセンター前ヒットで出塁し、
送りバントで2塁へ進め、3番東原選手はレフトライナーで2アウト2塁に倒れたものの、
4番田中隆彦選手が甘く入った変化球を捉えるライトオーバータイムリー2ベースで先制点を挙げます。
2回からは陶山・桑鶴両投手ともに持ち前のコントロールで安定感が出てきて、
光星学院のレフト:森野選手のダイビングキャッチファインプレー、
倉敷工業のセンター:松本選手のフェンスに当たりながらのナイスキャッチなどバックの守備も冴え渡ります。
光星学院の追加点は5回裏、7番小比類巻選手が逆球の変化球を打って三遊間抜くヒットで出塁し、
この打球をレフトが処理を誤ってグラブで弾く間に2塁を陥れて、ノーアウト2塁のチャンスを作ります。
送りバントで進めて1アウト3塁とし、
9番桑鶴投手はスクイズを試みるもファール、最後はファーストファールフライで2アウトとなるのですが、
ここで1番有木選手が内角低めの難しいフォークを叩きつけて打ち、一二塁間抜くタイムリーヒットで追加点を奪います。
倉敷工業は8回表に先頭の5番須田選手が外角変化球を上手く流し打つライト前ヒットで出塁しますが、
6番清水選手に打たせるもファーストへのライナーに終わり、ダブルプレーでチャンスを逃します。
9回表にも倉敷工業は代打明田選手の内安打、セカンドエラーで1アウト1・2塁のチャンスを作りますが、
代打の平井選手がセカンドゴロ併殺打に倒れて試合終了。
2−0で光星学院が勝利しました。

勝った光星学院の桑鶴投手は安定感抜群でした。
130キロ台前半のストレートを内外角コーナーに投げ分け、切れのあるスライダーはコントロール抜群。
ほとんど高めに浮く事がなく、最後まで力は衰えませんでした。
甲子園での3試合、安定した投球で一人で投げ切っているのは素晴らしいです。
無理のないフォームから投げ込んでいますし、スタミナもあるんでしょうね。
この先も安定したピッチングを期待しています。
打線は強力打線というよりもワンチャンスを確実にものにする野球が持ち味。
接戦にも強い野球ができていますし、今年の光星学院はまとまりのある良いチームですね。

負けた倉敷工業は駒大苫小牧戦の雨天ノーゲームに救われてからは、自分達の野球がしっかりとできていました。
エースの陶山投手が投げ、バックがしっかり守り、機動力を絡めて得点する野球、
自分達のカラーを出す事ができましたから十分健闘したと思います。
今日は懸念された陶山投手の死球もありませんでしたし、良い野球をしたと思います。よく頑張りました。




第2試合 岩国(山口) 12−4 福井商(福井)

(岩)大伴(9回)
(福)稗田(3回2/3)−斉藤(5回1/3)
岩国 10 12
福井商

なんつーかなぁ… 福井商の監督の気持ちが分かりません。
3回までの続投は分かりますが、4回に点数が入っても代えようとしなかった理由が分かりません。
今日の稗田投手は内角のストレートはほとんど抜けており、5死球以上出していました。
四球も含めれば11四死球、大荒れも大荒れ、明らかに状態が変でした。
そんな大荒れの状態でも投げさせれば失点は増える一方ですし、
相手チームの選手を怪我させる危険性もあります。
それにも関わらず、続投させるのはどういう判断なのか…
もう信頼感とかそういう問題じゃない、傍若無人な采配です。
死球はルールに定められていますが、怪我の危険性がある「好ましくない事」です。
その死球を連発する以上、速やかに交代するべきだと思います。
ピッチャーだってぶつけたくて投げているわけじゃありませんし。
投げているピッチャーの将来を考えても、続投が良い判断とはどうしても思えないです。
高校野球の指導者の方には少し考えていただきたいものです。
先日の倉敷工業の試合といい、死球に対する考えが甘いと思います。
「当てるぐらいの気持ちでなげる」のは構いませんが、当てちゃったらダメです(^^;
当ててしまったなら、それ相応の責任を取るべきだと考えます。
選手数の問題でプロのように危険球退場というわけにはいきませんから、
監督の自主的判断を促して欲しいものです。

試合展開を簡単に説明します。
先制したのは福井商でした。
1回裏、1アウトから2番吉長選手がレフトオーバー2ベースヒットで出塁し、
3番高野選手のショート正面のゴロがランナーと重なったのかショートが後ろに逸らして1点を先制します。
(記録はタイムリーヒット)
福井商は2回裏にも1アウトから6番木村選手のレフト前ヒット、ショートのエラーで1・2塁のチャンスを作り、
8番稗田投手のレフトオーバー2点タイムリー2ベースで追加点を挙げます。
3回表、稗田投手は頭部死球を与えてしまいますが、これは避けていないと判断されてボール、
けれど稗田投手はこの打者に対して遠慮がちに投げて四球で歩かせ、
バスター・送りバントでランナーを進められ、レフトへの犠牲フライで1点を返されます。
3回まで毎回の4死球とおかしかった稗田投手でしたが、4回はもう制御が利かなくなります。
先頭の7番中柴選手に死球を与えてしまい、
8番筑坂選手のショートゴロは併殺と思いきや、ショートの2塁送球が逸れてしまってオールセーフ、
送りバントで進められると、1番太田尾選手、2番松前選手の連続タイムリーで同点に追いつかれ、
3番藤田選手のファーストゴロではベースカバーに入らずに内安打としてしまい、
4番大伴選手には本日5つ目となる死球で満塁としてしまい、
5番村重選手の内野ゴロはショートがエラーしてしまって1点、6番津山選手の犠牲フライで1点、
7番中柴選手には背中に死球、8番筑坂選手に押し出し死球、9番中野選手には押し出し四球と荒れ、
1番太田尾選手にセンターオーバー3点タイムリー3ベースを浴びてしまい、この回、10失点。
ここで稗田投手は降板、斉藤投手が2番手として登板します。
その後は斉藤投手が試合を作りますが、3回の10点はあまりにも大き過ぎ、
12−4で岩国高校が大勝しました。

やはり疑問なのは稗田投手の続投の判断です。
3回まで毎回のように死球を与えるなど、今日のコントロールは最悪でした。
右打者のインコースに投げようとするボールが悉く抜けて行き、バッターに当たっていきました
スライダーのコントロールは安定していたので、最初は何とか持ちこたえていましたが、
4回にそのスライダーを打たれてしまうと投げるボールがなくなってしまい、
稗田投手が自滅して行ってしまいました。
マウンドを降りて守備に付いた時に右腕のテーピングを外していましたから、
最初から肩の調子は良くなかったんだと思います。
それが分かっていながら続投させた判断が分かりません。
福井商の敗因は稗田投手の続投にあったと思います。

一方の勝った岩国は、多くの死球を受けながらも集中力を切らさずによく打ちました。
これだけ荒れると逃げ腰になってしまいそうですが、
各打者が狙い球をしっかり絞って自分達のバッティングをしていたように思います。
ここらの集中力の高さが4回の大量得点に繋がったのでしょうね。
投げてはエースの大伴投手がナイスピッチング。
立ち上がりこそカーブのコントロールが悪く、3失点してしまいましたが、
3回以降は持ち前のコントロールを取り戻し、しっかりとした投球ができたように思います。
マイペースで粘り強く投げられる投手ですから、乱戦もものともせず。
ここらの精神的強さが魅力的ですね。




第3試合 東北(宮城) 1−0 平安(京都)

10 11 (平)服部(10回2/3)
(東)ダルビッシュ(11回)
平安
東北 1×

今大会屈指の2年生投手、東北の右腕:ダルビッシュ有投手と平安の左腕:服部投手の壮絶な投げ合いは、
延長11回の死闘の末、東北高校に軍配が上がりました。
まさにこれぞ投手戦という内容、ダルビッシュ投手が15奪三振、服部投手が17奪三振と素晴らしい投球内容でした。
 (両チームの打線が大振り気味だったというものありますが)
服部・ダルビッシュ投手ともに今大会は本調子ではなく、ここまで良いピッチングができていなかったんですが、
今日の直接対決は2人の対抗心に火を付け、本来の持ち味が如何なく発揮されたと思います。
素晴らしい熱戦を繰り広げることで、自分の潜在能力を引き出していく…これぞ高校野球の醍醐味、大きな魅力!
この試合の中で両投手は成長したことでしょう。
まだ2年生ですから、この先も2人で切磋琢磨していって欲しいものです。

試合展開の説明です。
立ち上がりの平安:服部投手はそれほど良くありませんでした。
1回裏、先頭打者を四球で出すと、盗塁を決められ(捕手の送球が逸れてセーフ)、送りバントで3塁へ。
1アウト3塁となりますが、3・4番がボール球のスライダーに手を出してくれて二者連続三振となったことで、
ややコントロールが悪かった服部投手のピッチングが楽になっていきます。
一方の東北:ダルビッシュ投手は立ち上がりからストレートが走り、平安打線を寄せ付けません。
四球でランナーを出し、盗塁を決められるなど何回かピンチを迎えますが、
ストレートで追い込み、低めに落ちるスライダー・フォークで三振を奪っていきます。
服部投手は序盤の東北打線の大振りに助けられての5者連続奪三振で波に乗り始めます。
終盤8回以降はセンバツで見せた踊るようなフォームが戻り、カーブを中心に凡打の山を作っていきます。

両チームともに決め手を欠いて迎えた11回。
まずは11回表、平安の3番西村選手とダルビッシュ投手の対決がありました。
ダルビッシュ投手の甘いスライダーを捉えて打球は良い角度で上がるものの、レフトフライ。
速球を意識してか、自分のスイングをしきれなかった分だけ打球は伸びませんでした。
この対戦に象徴されるようにダルビッシュ投手はストレートを見せ球に、
変化球でタイミングを狂わせるピッチングで平安打線を抑えていきました。
そして11回裏、先頭の2番宮田選手が高めの変化球を見逃さずに打つレフト前ヒットで出塁し、
送りバントで2塁へランナーを進め、1アウト2塁のチャンスを作ります。
4番横田選手はカーブに合わずピッチャーゴロに倒れますが、途中出場の中根選手が死球。
2アウト1・2塁の場面で6番加藤選手が2ストライクノーボールと追い込まれた後の、
外角ストレートを流し打ち、三遊間抜くヒット!
2塁ランナーは3塁を蹴って一気にホームへ! レフトの西村選手がバックホームするも、送球がやや一塁方向に逸れる!
この間にランナーが滑り込んで間一髪セーフ!
見事な2塁ランナーの走塁で東北高校がサヨナラ勝ちを収めました。

個人的感想を言えば、両投手ともに序盤はそれほど良いピッチングをしていませんでした。
確かに服部投手はカーブ・スライダーを効果的に決めていましたし、
ダルビッシュ投手のストレートはよく走っていました。
ただ服部投手はコントロールが悪くて荒れ気味、東北打線の大振りに助けられていた感があり、
ダルビッシュ投手も変化球を中心にコントロールがまばらで、平安打線の待球作戦に助けられていたように思います。
調子自体はそれほど良いものではなかった気がします。
けれど中盤以降は2人とも本物となっていきました。
服部投手はセンバツの好調時のように体重移動がスムーズになり、
投球後に片足一本で立つような躍動感あるフォームとなって、カーブの切れ味が増し、
ストレートも低めにコントロールされていました。
ダルビッシュ投手もフォークボールを使うことによって、ストレートとの緩急を使い、さらに高低の差を有効的に使って、
甘い球を投げながらも打者を翻弄するピッチングを繰り広げていきました。
私が課題だと思っていた服部投手の躍動感、
ダルビッシュ投手の勝負球となる変化球・投球の幅といった点をクリアしてきました。
おそらくこれが彼ら本来のピッチングだったんでしょうね。
2人の熱い投げ合いが本来のピッチングを呼び起こしたのでしょう。

惜しまれるのはサヨナラの場面での配球でしょうか。
2ストライクと追い込んでいるわけですし、変化球をボール球にすれば打ち取れたように思います。
延長戦で球数も150球以上とスタミナを消費していたので、早く終わらせようとしたのでしょうが、
それが結果的に勝負を焦ってしまったように思います。
やや勿体無い配球だった気がします。
服部投手にはこの一球の怖さを胸に精進していって貰いたいものです。
自分の投球フォームの良さを今一度確認しましょう。今日の型に本来持っている素晴らしさがあるはず。

投げ勝ったダルビッシュ投手は変化球が良かったように思います。
横の小さく曲がるスライダー、縦に落ちるスライダー、フォークボールの3つを中心に投げていましたね。
特に落下系の2球種はキレが良く、打者がよく手を出していました。
ストレートが速く、角度ある球なため、この高低の変化は驚異的でしょう。
投球の幅が一気に広がったように思います。
課題はクイックモーションやフィールディングといった投球以外の部分です。
特にクイックが遅いですね。平安高校はモーションを盗んで積極的に盗塁をしかけていました。
もう少しランナーに対する警戒、クイックを速くしなければ上のレベルでは厳しいと思います。
ピッチングは誰もが認めるところ。フィールディング強化を心がけてもらいたいです。




第4試合 常総学院(茨城) 7−0 静岡(静岡)

(静)鶴田(5回2/3)−川口(1/3)−増井(1回1/3)−黒田(2/3)
(常)仁平(6回1/3)−飯島(2回2/3)
静岡
常総 ×

うーん… ここまで得点差が付く試合ではなかったんですが…
静岡としては川口投手の出来が誤算だったぐらいで、
鶴田投手はフォアボールが多かったもののヒットは2本だけと常総打線を抑えていました。
実力的にもそう変わらなかったように思います。

この差を呼び込んだのは、やはり木内監督の「目」でしょう。
自軍の選手の状態の見極めはもちろんのこと、木内監督は相手チームの長所・短所さえも、
すぐに判断して作戦を組み立てる事ができます。
今日の試合であれば、静高の青池捕手が今年5月にコンバートされた選手だという情報を掴み、
強肩であるけれども経験が浅くてキャッチングが不十分な点を見抜き、
待球作戦や盗塁策を仕掛けることでバッテリーに揺さぶりをかけていきました。
また静高打線が強力ながらも大振りする選手が多いことを判断し、仁平投手を先発に起用しました。
仁平投手はどこにでもいそうな投手で、なんとなく「打てそう」な気分になる投手、
しかし実際に対戦してみると打ちづらい、そんなタイプのようです。
相手打線の特徴に応じた投手起用はお見事でした。
この木内監督の目が常総学院に勝利を呼び込んだように思います。

試合展開の簡単な説明。
立ち上がりが心配された鶴田投手、1回裏に先頭打者を四球で歩かせてしまいますが、
2番泉田選手の強攻策はショートハーフライナー、ダブルプレーで救われます。
これで少し立ち直った鶴田投手でしたが、2回裏1アウトから6番大崎選手を空振り三振に取るも、
キャッチャーが後ろに逸らしてしまって、三振振り逃げでランナーを出してしまいます。
ここで常総学院は積極的に動き、盗塁で2塁を陥れます(静高はノーマーク、青池捕手は気付いてなかった)
さらにワイルドピッチがあってランナー3塁へ進塁し、
7番井上選手が縦に鋭く落ちるスライダーをなんとかバットに当てる3バントスクイズで1点を失います。
3回裏には四球・送りバント・ボークで1アウト3塁のピンチを迎え、
2番泉田選手を空振り三振に取るも、またしても後逸、振り逃げとなって2点目を失います。
続く3番坂選手は内角低めスライダーで空振り三振に取るも、
4番松林選手がヒットエンドランでスライダーを斬るように打つライト前ヒット(これが初ヒット)で1・3塁。
この場面で1塁ランナーがスタート、青池捕手の送球が大きく逸れてしまい、3塁ランナーがホームイン。
鶴田投手はバッテリーエラーを中心にノーヒットで2点失い、ミスで3点目を失ってしまいます。

その後は粘り強く投げていった鶴田投手でしたが、6回裏に2アウトから四球でランナーを出し、
8番宮田選手にややシュート回転するストレートを打たれ、この日2本目となる三遊間抜くヒットを許します。
ここで静岡高校は投手交代。静岡県大会決勝後、肩の張りを訴えていた左の川口投手が登板します。
その影響があったのか、コントロール甘くなってしまい、
9番仁平投手に一二塁間抜くタイムリーヒットを打たれます。
しかもこの打球をライトの山内選手がトンネル、1塁ランナーも生還して2点を許してしまいます。
さらに打者走者もホームを突きますが、これはさすがにタッチアウト。5点差となってしまいました。
川口投手は7回裏にも平野・泉田に連続長打を浴びて失点。
変化球がことごとく高めに入ってしまうらしくない投球をしてしまいます。
代わった増井投手は3番坂選手にタイムリーヒットを打たれるも、その後は0点に抑えます。

一方の静岡は仁平投手の前に5回までノーヒットに抑えられてしまいます。
ようやくチャンスを作ったのが7回表。
先頭の3番服部選手がセンター前ヒットで出塁し、ボークで2塁へ進塁、
4番石川選手の三遊間を抜くヒットでノーアウト1・2塁のチャンスを作ります。
5番一ノ宮選手が三振に倒れて1アウト1・2塁となった所で、常総は2番手の飯島投手にスイッチ。
続く6番山内選手が三遊間抜くヒットを打って、1アウト満塁としてチャンスを広げますが、
7番西尾選手がサードゴロ併殺打に倒れてしまい、得点することが出来ません。
その後はチャンスらしいチャンスを作ることが出来ず静岡高校は完敗。
7−0で常総学院が勝利しました。

7回の2番手川口投手の連打による失点を抜きに考えれば、失点は全てミス絡みです。
それもバッテリーエラーばかり。捕手の悪送球、ワイルドピッチ、三振振り逃げ、ボークなどなど…
まともに打たれたシーンはなかっただけに、ミスが目立ってしまいました。
今までは鶴田投手の荒れ球が問題だと思ってましたが、
一番の問題は青池捕手のキャッチングにあったのかもしれません。
鶴田投手を完全に生かすには縦のスライダー・フォークなどの落ちる球を使わなければなりません。
ボールのキレがいいため、ストライクゾーンに投げる必要はなし、ボールゾーンに投げ込めばいいこと。
ですが、ボールゾーンに投げてしまえば青池捕手が止める事ができない…
この弱点を常総学院に突かれてしまったように思います。
最近は強打の捕手、強肩の捕手などが注目を浴びますが、一にも二にも捕手はキャッチング。
投げられたボールを受け止めることが一番の仕事。
それを再認識させられる試合だったと思います。

勝った常総学院はさすがに優勝候補。打てないながらも卒のない攻撃で得点を積み重ねました。
智弁和歌山戦といい、相手のミスを誘い出すような嫌らしい攻撃は見事です。
百戦錬磨の木内監督の目が相手チームにプレッシャーをかけているのでしょうね。
投手戦でも打撃戦でも、どんな戦い方も可能な常総学院、優勝候補の筆頭に相応しい戦いぶりです。
甲子園大会初先発となった2年生左腕の仁平投手も見事なピッチングでした。
ストレートは130キロ前後、スローカーブ、シンカーが武器のピッチャー。
パッと見では打てそうなピッチャーなのですが緩急を上手く使いながら、
右打者の外角低めにシンカーを上手く落として三振を奪っていました。
見た目とは裏腹な打ちにくい投手なのでしょうね。
磯部・飯島投手に続き、また一人、常総投手陣に強力な投手が加わりました。

負けた静岡高校はバッテリーの経験の差が出てしまった印象です。
他の野手陣はしっかりと守っていただけに、バッテリーミスが目立ってしまいました。
鶴田投手はもっと大胆に、青池捕手はボールを確実に体で止めていれば、今日の失点はありませんでした。
また打線の方も、仁平投手という伏兵の登場に戸惑ってしまい、
不安定な仁平投手の立ち上がりを攻めることができず、待球で様子見としてしまいました。
序盤はややコントロールが甘かっただけに、積極的に打っていって欲しかったです。
最初から最後まで流れは常総ペース、自分達の野球ができなかったことは悔いが残るでしょうね…



目立った選手は静岡高校の鶴田投手(3年右腕182センチ)です。
ゆったりとした始動で強い腕の振りを生かして投げる力投型の投球フォーム。
ストレートは135〜143キロ、縦のスライダーとフォークボールを持っています。
ストレートも変化球も切れ味抜群で、落ちる変化球はワンバウンドでもつい手が出てしまうほど。
本来のコントロールはそれほど悪くなく、やや警戒しすぎているのかなという印象です。
少し弱気な所があるらしく、自分のストレートに自信を持ちきれていないような感じです。
ストレートの球威は抜群で、全力投球なら前に飛ぶことはほとんどないだけに、
自分で自分の首を絞めてしまっている辺りは歯がゆかったです。
実戦経験が浅い投手ですから、大学・社会人等で経験を積むのが良いと思います。
これでハートの強さを身につければ、素晴らしい抑え投手になれることでしょう。
将来が楽しみ、目標を高く設定して頑張って欲しいです。




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