夏の高校野球 甲子園大会 2日目

今日は台風の影響で、最初から第3、第4試合は延期です。
さらに第2試合の途中でノーゲームとなったため、9日の試合は今日の第2・第3試合。
今日の第4試合は10日の第1試合に回されます。
これによって試合日程は1日と1試合長くなりました。


第1試合 今治西(愛媛) 6−0 日大東北(福島)

(今)豊嶋(9回)
(日)坂本(5回2/3)−佐藤浩(3回1/3)
今治西
日大東北

今治西のエース豊嶋投手が好投し、今大会初の完封勝利を挙げました。
今治西打線は2回裏に2つの押し出し四球で先制し、6回には下位打線の3連打で3点を加えるなど、
前評判どおりの切れ目のない打線が威力を発揮していました。
スコア的には今治西の圧勝ではありましたが、両チームともに堅い守備を誇っており、引き締まった試合展開でした。
試合時間が1時間52分と2時間を切っていることからも、試合のテンポの良さが分かりますね。

試合は、2回表、今治西の4番秋月選手が痛烈なレフト前ヒットで出塁し、
5番門田選手がフルカウントから逆らわずにセンターへ2ベースヒットを放ち、ノーアウト1・3塁とチャンスを作ります。
6番曽我選手の痛烈な当たりはサードの超ファインプレーに阻まれるも、7番越智選手に四球を与えて満塁に。
8番豊嶋投手はサードゴロ本塁封殺に打ち取りますが、
9番相原選手、1番黒川選手ともに2ストライクと追い込みながらもボールが続いて連続押し出し四球。
満塁で踏ん張りきれずに2点を献上してしまいます。
しかし日大東北の2年生投手、坂本投手は3回以降立ち直り、コーナーを攻め分ける投球で0点に抑えます。
一方の今治西のエース、豊嶋投手はキレのあるストレートと2種類のスライダーを武器に、
1回裏の3番佐藤選手のヒット以降は、パーフェクトに日大東北打線を抑えていきます。
試合が動いたのは6回表、1アウトから5番門田選手にヒットを許しますが、曽我選手を三振に打ち取って2アウト。
しかしここから今治西は7番越智選手がヒットで繋ぎ、好投の8番豊嶋投手がセンター前タイムリーを放ち、
9番の相原捕手がレフト線を抜く2点タイムリー2ベースヒットを放ち、決定的な5点目を加えます。
今治西の豊嶋投手は8回に1本、9回に1本ヒットを打たれたものの、ピンチらしいピンチはなく、
3安打7奪三振無四球の完封勝利を挙げました。

この試合ではやはり、今治西の打線が目を引きました。
今日はレギュラーの3番下窪選手が怪我で欠いたものの、
4番秋月選手、5番門田選手、6番曽我選手らの主軸は長打力を秘める強力打線。
さらに今日は7番越智選手、8番豊嶋投手、9番相原選手と下位打線もシャープなスイングで繋がりを見せるなど、
上位・下位に渡るまで切れ目の無い打線を披露してくれました。
次の試合以降も、この強力打線の活躍は楽しみです。
またエースの豊嶋投手が公式戦初完投を果たすなど、エースの成長も心強いでしょうね。



目立った選手は今治西の豊嶋投手、秋月選手、門田選手、曽我選手、日大東北の佐藤浩投手。渡部選手です。
今治西のエース豊嶋投手は170センチと上背はないものの、小気味良い投球をしてくれます。
投球フォームはオーソドックスなオーバースロー、テンポ良くストライクを取ってくる投球をします。
ストレートは130〜140キロまで、おおよそ135キロ前後の球速で、キレがありました。
変化球は縦横2種類のスライダーが持ち味、横のスライダーは緩い感じのタイミングを外す球で、
縦のスライダーは落差少ないものの、ベース上でのキレを感じました。
コントロールも安定していて、外角のボールの出し入れがお見事。
また時折、内角を大胆に突くなどコーナーコーナーをしっかり突けていました。
終盤はややスタミナ不足でリズムを乱したものの、無四球は立派。
球数がわずか103球での完投と打たせて取る投球を披露するなど、テンポの良さが光りました。

4番ファーストの秋月選手(右182センチ)はパワフルな印象を受けました<5打数1安打(レフト前ヒット)
バットをベース側に傾ける大きな構えをしており、ボールを引きつけて打つことができていました。
1打席目のレフト前ヒットは変化球を引きつけて鋭く打ち返すなど、スラッガーぶりを見せてくれました。
ただ他の打席で見られたように、インコースのストレートに弱い印象があります。
大きな構えにありがちな、トップの位置への移動が遅いため、若干始動が遅い感じがあります。
そのため近めの球には差し込まれがち。140キロ以上の速い球には脆そうなのが心配な所。

6番サードの曽我選手(右172センチ)は三拍子揃った好選手<3打数ノーヒット1犠打(サード痛烈ならライナーあり)
今日はノーヒットながらも1打席目はサードへ痛烈なライナー(ファインプレー)を打つなど、打撃の良さが伺えました。
打撃フォームは義足の左足を大きく上げる一本足型、腰が据わった良い構えで、力強さを感じます。
足の方も50mを6秒台で走るなど、義足のハンデを感じさせません。
守備の方でも強肩を生かしたリズム良い足運びをしているなどセンスが伺えます。
走攻守三拍子揃った良い選手です。
打撃の欠点は外角低めの落ちる変化球に弱いこと、一本足だけになかなかバットが止まりません。
そこを克服すればコンスタントにヒットを打てる中距離打者になれそうです。
ここまでは「義足の三塁手」とハンデの面が強く出ていますが、実力の方も高く評価されていいと思います。

今日一番良かった打者は5番ライトの門田選手(左166センチ)です<4打数2安打(センター2ベース、レフト前ヒット)
オーソドックスな打撃フォームをしており、シャープなスイングで広角に打ち分けることができる打者です。
今日もセンター・レフトとセンターから左へと無理せず打ち返していたのが印象的でした。
地方大会では三振が0だったそうですし、ミートするセンスは抜群。
やや打撃に癖のある2選手の間を上手く繋いでいますね。今治西打線の肝はここにあります。

日大東北の2番手、佐藤浩投手(右178センチ)はサイドスローからキレのあるストレートを投げていました。
球速は130キロ行くかどうかですが、低めのストレートの伸び・コントロールは素晴らしかったです。
高めに威力ある球を投げられれば、将来面白いかもしれません。

また1年生捕手の7番キャッチャー渡部選手(右170センチ)にも注目<3打数ノーヒット
結果こそ残りませんでしたが、守備で今治西のディレードスチールを刺すなど、落ち着いています。
打撃フォームも良く、ゆったりした始動で打ち出すなど、構えに余裕があります。
全体的なパワーアップが計れれば良い打者になるように思います。
守備面も含めて、どれだけ成長するのかが楽しみです。



勝った今治西は上位打線に大きな活躍がなかったので、2回戦以降の奮起が期待されます。
上位打線が打ち始めてこそ、今治西の打線は作用すると思います。まだまだ打線の出来としてはこれからでしょう。
あとは豊嶋投手以外のピッチャー、抑えの山田投手を始め、登板がなかったピッチャーの出来が気がかり。
2回戦以降は継投になってくることでしょうから、2番手以降の投手が勝敗の鍵を握ってきそうです。
力のあるチームですから、今後の健闘が期待されます。

負けた日大東北は打撃に良い所が見られなかったものの、守りの堅さは目を引きました。
また先発した坂本投手、4番の吉田選手は2年生、捕手は1年生の渡部選手と主力が若いですから、
来年以降の飛躍が期待されます。
この甲子園での経験を生かし、良いチームを作って欲しいです。
…それと…台風の影響で8回まで女子ブラスバンドが到着しなかったのは災難でしたね…
とりあえず間に合ったことで良しとしますか…でも残念だよなぁ、やっぱり…




第2試合 駒大苫小牧(南北海道) 雨天ノーゲーム 倉敷工(岡山)

(倉)陶山
(駒)白石
倉敷工 雨天ノーゲーム
駒大苫小牧 0×

うーむ… 4回裏2アウト1・2塁のチャンスで、降雨中断…そのままノーゲーム…
今年のセンバツの遊学館−近大付属はタイスコアで中断したので納得ですが、
これだけ大差がついてのノーゲームだとねぇ…
特に南北海道、駒大苫小牧は甲子園未勝利なだけに、この試合のまま決まって欲しかった気もします。
もちろん、再試合でも駒大苫小牧が勝てば文句ありませんが… 何あるか分かりませんし。
日米大学野球であったような「サスペンデット制(得点・状況を同じで翌日再開)」は適応できないのでしょうか?
一戦で終わりの高校野球なだけに、公平性を欠くようなことだけは止めて欲しいです。

試合の方は駒大苫小牧打線が炸裂。
2回裏、4番の若狭選手が死球で出塁し、5番白石投手のバントはサードの反応が良く2塁アウト。
しかし6番土島選手の所で盗塁・四球で、1アウト1・2塁とチャンスを作り直し、
7番桑島選手の一二塁間を抜くヒットで2塁ランナーの白石投手が一気にホームへ、
キャッチャーのブロックをかいくぐるナイススライディングで先制点を奪います。
これで火が付いたのか、8番糸屋選手が叩きつける三遊間抜くヒットで満塁とし、
9番大西選手も叩きつけて三遊間抜くタイムリーヒット、1番原田選手もライト前タイムリーを放ち、
2アウトとなるも3番石川選手が高めに浮いた球を捉えて、左中間を破る3点タイムリー2ベース、
さらに4番若狭選手がラッキーな内安打で繋ぎ、5番白石投手がライト前タイムリーを放ち、計7得点。
3回裏には倉敷工の内野守備の乱れで1点を奪うなど、完全な駒大苫小牧ペースの試合でした。

倉敷工の先発投手、陶山投手は140キロ前後のストレートなどバランスが良かったものの、
駒大苫小牧打線が叩きつけるバッティングで見事に攻略していました。
4番の強打者の若狭選手を中心に、繋がりのある打線で得点力は高そうです。
またセンバツでも好投した白石投手は安定感が増しており、センバツ時よりもレベルアップしています。
特にセンバツで仇になった守備力のレベルアップが目覚しく、
グラウンドコンディションが悪かったのにも関わらず、堅実に打球を処理していました。
センバツ時も投打のバランスが高いと思ってましたが、さらにバランス良くなった気がします。
一方の倉敷工は陶山投手の出来が大誤算。
明日の試合でどれだけ立て直せるか注目が集まります。
倉敷工は犠打や機動力など1点を奪う野球が持ち味なので、陶山投手の出来次第だと思います。



目立った選手は、駒大苫小牧の白石投手、若狭選手、倉敷工の陶山投手です。
白石投手(右180)はセンバツで見た時と大体同じ印象でした。
体重移動がスムーズな投球フォームで、球威あるストレートを投げ込んでいきます。
コントロールはもう少しだと思いますが、スライダーのキレはセンバツよりも良かったと思います。
ストレートが微妙に変化するなど、投球に幅が出てきた気がします。
明日のピッチングも注目です。

陶山投手(右177)は140キロ前後のストレートを投げるなど、スピードは白石投手よりも上。
投球フォームのバランスも良く、コントロールも安定しているのが強みですね。
ただ勝負球となる変化球がなく、ストレートも整った感じで威力はあまり感じられませんでした。
2回裏はボールを揃え過ぎたかなという印象です。
上手くボールを散らし、コーナー・低めを突く投球ができるかが鍵となってきそうです。

若松2世と評判高い4番ライトの若狭選手(右左169)は2打数2安打1死球ながらも良い所なし。
外角のストレートを引っ掛けてのピッチャー内安打、詰まりながらのセンター前の2本ですから。
今日は県大会5本塁打を記録した強打者ぶり見られませんでした。
ただ元々、長距離砲というよりも巧打者タイプ、若松ヤクルト監督と同じタイプ。
打撃フォームがバットを寝かせ気味、ミートを狙ってくる選手だと思います。
今日はやや強引なバッティングが見られたので、野手の間を抜く打球に切り替えて欲しいです。
今日は打撃よりも、むしろ走塁の方が良かったと思います。
ピッチャーゴロでの内安打、3塁への盗塁を決めるなど、足の速い所を見せてくれました。
今度はバッティングのセンスを発揮して欲しいですね。




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