今年のセンバツ大会は1点差ゲームが多く、引き分け再試合があるなど、 レベルの高い好ゲームが展開された年だったと思います。 勝ち上がりを見てみると、初出場校・特別枠チームが初戦に敗れるケースが多く、 甲子園常連校である強豪校が最後まで残った印象があります。 その理由は「高校野球全体のレベルが上がっている」からだと思います 近年はプロ野球でも松坂投手を始め、寺原投手、真田投手といった選手が 高卒新人ながら1軍で活躍したり、素材を買われて1軍登用されている現状があります。 もちろんプロ側の世代交代期ということもあるでしょうが、 すぐに使ってもらえるだけの実力を持った選手が多くなっていることは確かでしょう。 ではそれがどうして強豪校の躍進となるかと言えば、 「良い選手が集まりやすいから」という単純な理由だけではありません。 それは「キャッチャーの技術力」、特に「リード面」において強豪校が優位に立っているからです。 近年は投高打低と言われてきました。 バッティングマシーンの普及や金属バットの改良により、パワー溢れる打者が増えたからです。 それを考慮して導入された木製に近い金属バットでホームラン数自体は減りましたが、 理にかなったバッティングができる打者、ボールを上から叩ける打者は以前より飛距離が増してるように思います。 それが今年多く見かける「長打の打てる1番打者」なんだと思います。 だから甲子園で勝つためには上から叩く打撃ができることが第一条件になります。 さらに高校の指導者育成が進んだことで、ピッチャーの技術も格段に上がりました。 今年は所謂「荒削りな投手」をほとんど見かけませんでした。 緊張のため制球を乱すことはありましたが、全体として上手くまとまっている投手が多かったと思います。 変化球もカーブから縦スライダー、さらにはカットボールとプロ顔負けの球種の多さになっていますし、 ピッチャーの技術も相当に上がっているように感じています。 で、ここでキャッチャーのリードが出てくるわけです。 打撃は先の特徴から下位打線といえども上から叩けば恐ろしい打者です。 投手はストライク先行で多種に渡る変化球を投げていきます。 そういう状況だと打者は投手の配球を読んで決め打ちをしますから、 あとは単調にならないようキャッチャーがリードを工夫する事が必要になってきます。 つまり個々の技術差が少なくなり、戦略的なID野球の領域に高校野球も入っているのだと思います。 その代表みたいなのが石川の遊学館。コンピュータを使った指導で創部2年目で大躍進をしています。 ただその遊学館も常連校の「経験に裏打ちされたリード・戦略」には敵いませんでした。 もうこれからは体力だけでなく、技術だけでなく、戦略面での戦いがゲームのウエイトを占めてくることでしょう。 でもそれだとプロ野球と差がなくなるのではないかという危惧もあります。 学生スポーツなのだから心身を鍛えることに重点を置いて、監督の戦略面は二の次という意見もあるでしょう。 そのバランスをいかに取っていくかが今後の高校野球の課題になってくると思います。 …もっとも今書いた私の推察は多少なりとも高校生選手を過大評価していますが(^^; すぐにそういう状況になるとは思いませんが、 近い将来は戦略性に長けた監督擁する常連校対決になる可能性は十分あると思います。 (追記:投手のスピードに関して) 今大会では徳島商業の平岡投手が147キロを計測しましたが、全体的にスピードは抑え目だった気がします。 最初は調整不足なのかとも思いましたが、これは自分がコントロールできる速さに抑えて投げていたからのようです。 新垣・松坂・寺原投手らの登場で甲子園大会でも最高スピードが注目されるようになって、 選手の意識もそちらに言ってるのかと思いきや、全くの逆、勝つためのピッチングを甲子園では重視していたようです。 例えスピードが出ても投球フォームを乱してしまえば、コントロールが崩れればダメですし、 ボールのキレやノビもなくなってしまいます。 正しい投球フォームで、コースに投げ分けられる球速で…それを重視した投手が多かったように思います。 私はこのことは良い傾向だと思います。 最後までフォームを崩さないように投げることは投手にとって1番大事なことでしょうからね。 それができていたことは高野連を始め、監督・コーチの指導が行き届いてるなと感じさせられました。 |
S | A+ | A | B | 2年生 | |
右投手 | 平岡政樹(徳商) 西村健太朗(広陵) 藤井宏海(福井) |
平野貴志(桐蔭) 福本真史(花咲徳栄) 榊原諒(中京) 白石守(駒大苫小牧) |
松下祐士(浜名) 谷哲也(鳴門工) 牛島明彦(斑鳩) 小原篤(近江) |
ダルビッシュ有(東北) 鶴川将吾(明徳) 涌井秀章(横浜) 美馬学(藤代) 宜野座貴大(宜野座) |
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左投手 | 小嶋達也(遊学館) アン(東洋大姫路) |
須永英樹(浦和) 成瀬善久(横浜) |
鈴木寛隆(浦和) 岩本祐介(宇部鴻城) |
滝谷陣(智弁和歌山) 服部大輔(平安) |
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捕手 | 白濱裕太(広陵) | 新岡裕豪(藤代) | 村田浩明(横浜) | ||
一塁手 | 本田将章(智弁和歌山) 行田篤史(遊学館) |
新谷悠介(福井) 小粥勇輝(浜名) |
黒木豪(横浜) 山口秀人(明徳) |
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二塁手 | 末沢優典(徳商) | 上本博紀(広陵) 宮本僚太(藤代) 玉城秀一(横浜) |
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三塁手 | 堂上剛裕(名電) | 西江竜哉(横浜) | 水田健一(斑鳩) 藤田貴弘(広陵) |
梅田大喜(明徳) 中山健蔵(遊学館) |
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遊撃手 | 吉田真二(横浜) | 山下祐二(旭川実) | 松原史典(明徳) 岡昇平(近江) |
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外野手 | 城所龍磨(中京) 門前歩(遊学館) 西野隆雅(平安) |
荒波翔(横浜) 松本淳(浦和) 大西輝弥(近江) 西村拓也(平安) 前川直哉(東洋大姫路) |
金森将平(福井) 永松孝太(近代付属) 沖田浩之(明徳) 佐坂謙介(鳴門工) |
引本浩太(中京) |