センバツ甲子園大会 12日目

決勝戦 広陵(広島) 15−3 横浜(神奈川)

(広)西村(9回)
(横)涌井(3回2/3)−成瀬(5回1/3)
(本)藤田(広陵1回2ラン)
広陵 15
横浜

熱戦が続いた春のセンバツ甲子園の覇者は、投打のバランスが取れた広陵高校となりました!
優勝、おめでとうございます〜♪
初戦を見た時は機動力の素晴らしさは感じましたが、ここまで長打構成できるとは思いもよりませんでした。
甲子園で1戦1戦と戦ううちにレベルアップしていった気がします。
守りでは好投手の西村投手と白濱捕手のバッテリーを中心に堅実な守備を誇り、
バックも再三のファインプレーで西村投手を盛り立てていました。
全てにおいてレベルが高い良いチームだと思います。本当に優勝おめでとう!
…という挨拶は普通最後にするもんなんですが、まーいいやということで(爆)

では試合展開を説明していきます。
横浜の先発投手はエースの成瀬投手ではなく、2年生右腕の涌井投手でした。
その起用がどう出るか注目されましたが… 結果から言えば裏目に出たようです。
1回表、今大会当たっている1番上本選手が三遊間を抜くヒットで出塁しますが、
2番片山選手の所でややリードが大きかったのか、捕手の1塁牽制でタッチアウト。
これでリズムに乗るかと思われましたが、片山選手が1塁線へ3ベースヒットを放ち、
続く3番藤田選手がインハイストレートボール気味の球をライトスタンドへ2ランホームラン!
けれど後続はキャッチャーファールフライ・三振と抑え、2回表も三者凡退で立ち直ったかに思われました。
しかし再び上位打線を迎えた3回表に再び連打を浴びます。
1番上本選手が高め変化球を打ってライト線2ベースヒット、
2番片山選手が真中に来た球をレフト前に弾き返し、レフトがボールをこぼす間に2塁ランナーホームイン。
3番藤田選手は強い当たりのセカンドゴロで、これがなんとセカンド手前で大きく弾むイレギュラー、ライト前タイムリー。
4番白濱選手の所で涌井投手がボークを与えてしまいますが、
セカンドゴロに詰まらせた打球を判断良く二塁手が三塁送球してタッチアウトの好判断を見せ、
涌井投手が続く打者をセカンドゴロに打ちとって2点で止めます。
でももう立ち直ることができず、4回表に西村・辻・上本選手に3連打を浴び、マウンドを降りることになります。

涌井投手の出来に関してですが、悪くはなかったと思います。
確かにストレートが130キロ前後で万全ではありませんでしたが、球威もあったように見えました。
打たれた理由はコントロールです。
どうしても投球フォームの関係上、ボールが高めに集まりがちな投手なので、
そこを広陵打線が上から叩く感じで狙い打って攻略していったように思います。
技ありだと思ったのは3番藤田選手のホームランぐらい。
あとはベルト付近の高さに甘く入ったボールを痛打されていました。
でもそうさせたのは高めを打った藤田選手のホームランなわけですから、広陵打線が上手く攻略したと言えます。

さて試合の方は代わった成瀬投手が後続を打ち取り、5回表も0点に抑えます。
一方の横浜はというと、1回裏に2番松原・3番西江選手と初球打ち連続ヒットで1アウト1・2塁のチャンス。
ここで4番黒木選手が外角ストレートを上からコンパクトに叩いて、高いバウンドのセンター前タイムリーで1点。
さらにチャンスがあったのですが、5番吉田真選手がセカンドゴロ併殺に終わってしまいます。
4回裏には4番黒木選手が西村投手の変化球を上手くバットに乗せてライト線へ3ベースヒットを放ち、
5番吉田選手のショートゴロ時に、前進守備バックホーム体制だったショートがこれをエラーして1点が入ります。
続いて6番石川選手がピッチャー返しでセンター前に抜ける鋭い当たりエラーしたショートがジャンプ好捕!
そのまま2塁ベースを踏んで併殺打。横浜の反撃ムードもこれで止まってしまいます。

広陵は6回表に2アウトから成瀬投手を捉えます。
9番辻選手がレフト前のポテンヒットで出塁し、1番上本選手が四球で歩き、
2番片山選手がライトへタイムリー2ベースヒット、3番藤田選手がセンター前タイムリー、
4番白濱選手がレフトへタイムリー3ベースを打つなど4点を加えて試合を決定付けます。
このうち片山選手と白濱選手の打球は外野手がグラブに当てている一歩及ばずという当たりだったので、
紙一重だったと言えますが、やっぱり打球の速さがあった分、抜けたと私は見ています。
広陵打線はさらに8回・9回にもダメ押し点をあげて、決勝ではタイ記録となる15点を奪います。

横浜は9回裏に代打の太田選手がライト線へ2ベースヒットを放ち、
さらに3番西江選手がカーブに付いていきセンター前ヒット、当たっている4番黒木選手が四球を選び、ノーアウト満塁。
けれど5番吉田真選手のこの日2つめのセカンド併殺打の1点で終わり、ゲームセット。
広陵高校が横浜高校を破り、12年ぶりの優勝を遂げました。

今日の成瀬投手はいつもの低めの制球力がありませんでした。
高めにボールが浮いてしまった分、長打を浴びたという感じがします。
ただ爪が割れていながらここまでよく投げました。
多彩な変化球と抜群のコントロールを持つ投手なだけに苦労したことでしょう。
夏には万全な状態で甲子園に戻ってきて欲しいです。

広陵の西村投手は昨日ほど良くはありませんでした。
ストレートのノビ・球威は普通ぐらいで、変化球のコントロールが若干悪かったかなという印象がしました。
ただ打線が大量得点を取ってくれたこともあり、マイペースに投げていたようです。
悪いなりにまとめてしまう安定感が優勝できた理由なんでしょうね。

ここまでの試合を通じて目立っていた広陵の打者は、
1番セカンド上本選手(2年)と4番キャッチャー白濱選手(3年)です。
上本選手はコンパクトに上から叩くバッティングが持ち味で、どんな球にでも対応でき、
かつ左右両方向に打てるバッティングが素晴らしいです。
足も速く、守備も良いものを持っているようなので、今後の成長が楽しみです。
白濱選手は西村投手のナイスピッチングを支えるリードが光りました。
相手チームの打者をよく研究し、緩急自在に、相手の裏をかくリードは素晴らしかったと思います。
強肩で今日も盗塁を刺しましたし、フィールディング面は文句なしです。
打撃もこの甲子園大会で大きく成長したようなので、夏にもう一度バッティングをチェックしたい選手です。



負けた横浜高校ですが、チームの主軸である荒波選手を欠いた中、チーム一丸となって良く戦ったと思います。
平安高校戦での素晴らしいスクイズバント、成瀬・涌井両投手の活躍、
日替わり打線・日替わりヒーローとレギュラーだけでなく、ベンチ全体で戦っていることが伝わってきました。
高校野球は個人の力ではなく、やっぱりチームプレーなんだな、それを再確認させてくれるチームでした。
夏には各選手とも万全な状態にして、果たせなかった全国制覇に挑戦してもらいたいです。

勝った広陵高校は最初に述べたように投打のバランスが素晴らしかったと思います。
ここ数試合では長打が目立っていましたが、機動力を交えた多彩な攻撃は相手チームの脅威だったことでしょう。
良くまとまったチームです。今度は春夏連覇に挑戦するため、甲子園に帰ってきてもらいたいです。
最後に優勝、本当におめでとうございました!!




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