センバツ甲子園大会 11日目

第一試合 横浜(神奈川) 5−3 徳島商業(徳島)

(徳)平岡(8回)
(横)成瀬(8回2/3)−涌井(1/3)
徳商
横浜 ×

全員野球の横浜が徳島商業に競り勝ちました。
今日の徳島商業の平岡投手はストレートが高めに浮きがちで、
後半にはシュート回転して真中に集まりがちになってしまうなど調子は悪かったように思います。
たぶん疲れから来る体の重さだろうと思いますが、
躍動感溢れるピッチングが見れなかったのは残念です。
一方の横浜は平岡投手の失投を見逃さずに良く打ちました。
投げては成瀬投手がコントロール良い落ち着いた投球を見せて、徳商打線を抑え込みました。
終盤は疲れからストレートに球威がなくなり、高めの球を痛打されてましたが、
全体的には素晴らしいピッチングだったと思います。

試合展開はまず2回表に徳島商業が先制点をあげます。
この回先頭の4番東選手がセンター前ヒットで出塁、続く5番平岡投手の場面で成瀬投手がボーク。
ノーアウトランナー2塁となり、平岡投手がセカンドゴロ進塁打で1アウト3塁のチャンス。
ここで6番鶴羽選手が初球にスクイズバント!
バッテリーは外に外したものの、ややストライクゾーン近くにボールが行ってしまいました。
成瀬投手がその後にナイスフィールディングを見せたものの、ホームはクロスプレーセーフとなりました。
その後の徳島商業の攻めは少しちぐはぐでした。
1アウト1塁からバントエンドランだったのか、バッター空振りでランナースタート、盗塁失敗。
バッターも三振に終わるなど、拙攻が見られました。
もう少しじっくり攻めても良かったんじゃないかと思います。

一方の横浜は3回裏に9番吉田斉選手がショートゴロボテボテの内安打で出塁し、
送りバント成功で1アウト2塁から、1打席目にもヒットを打っている2番玉城選手がセンター前タイムリー。
これで同点に追いつきます。
ただ横浜は4回、5回にもノーアウトのランナーを出しますが、得点できず。
徳島商業も5回表にランナーを出すも三振ゲッツーなど攻撃がかみ合わずに得点できず。
6回表には打の中心である1番末沢選手が2アウトからレフト線へ2ベースヒットを放つ、
ナイスバッティングがありましたが、後続が倒れて無得点に終わります。

6回裏の横浜の攻撃。まず3番西江選手が高めの球を打って三遊間を抜くヒットで出塁します。
そしてここが問題の場面。4番黒木選手は送りバントの構えだったんですが、ストレートの四球。
バントをさせたくない、警戒しすぎたことで余計にピンチを大きくしてしまいました。
カウントノーツー辺りでバントをやらせに行ったほうが良かったかもしれません。
ノーアウトランナー1・2塁となった所で、確実に送りバントを決めて1アウト2・3塁。
ここで6番石川選手の当たりは鋭い当たりヒット…かと思いきや、サードが左上に横っ飛び!
ナイスキャッチでチームの危機を救った…かと思われたのですが、
続く7番村田選手のサードゴロを慎重に行き過ぎて悪送球、一気に2点入ってしまいます。
さらに連鎖反応なのか、8番打者のゴロをショートが悪送球してしまい、もう1点与えてしまいます。
7回表には平岡投手のストレートがシュート回転して真中に集まるのを横浜打線が見逃さずに連打!
3番西江選手のタイムリーヒットでさらに1点を加えます。

追う展開となった徳島商業は7回表に7番貝塚選手が成瀬投手の高めへの失投を見逃さず、
ライトオーバー3ベースヒットを放ち、8番阿部選手のセカンドゴロの間にホームイン、1点返します。
さらに2アウトから1番末沢選手、2番大田選手と連続ヒットが出ますが、
3番土肥選手はフルカウントから外角高めストレートボール球を振らされてしまい、三振に倒れてしまいます。
9回表には4番東選手がレフト前ヒットで出塁し、
2アウトになりながらも7番貝塚選手がレフト線へタイムリー2ベースを打つなど盛り上げますが、
最後は代わった横浜の涌井投手の変化球高めを打った当たりがライト正面を突いてしまいゲームセット。
横浜が決勝進出を決めました。

負けた徳島商業は6回のファインプレーの後のエラーが痛かったです。
もしもエラーがなかったなら、ファインプレーで波に乗れていたことでしょう。
あのエラー1つで歯車が大きく狂ってしまったような気がします。
野球は面白いものでギリギリのプレーだと良い送球がいき、慎重に投げようとすると悪送球になりがち。
精神的に難しい場面だとは思いますが、基本プレーを再確認して欲しいです・
平岡投手は悪いなりによく投げていたと思います。
今大会は随所に光るものを見せてくれましたし、彼にとっては大きな自信となる大会だったでしょう。
夏に帰ってくるためにも平岡投手にはさらなる飛躍を期待し、
チームには控え投手・野手のレベルアップを求めたいです。
徳島商業はバランスが良いチームだと思うので、センバツ出場の鳴門工業と切磋琢磨して、
再び甲子園の舞台に戻ってこれるようにしてもらいたいです。

勝った横浜は堅実な守備と成瀬投手のコントロールが素晴らしいですね。
成瀬投手は投げ終わった形が良いので、フィールディングも素晴らしいものを持っています。
今日は後半にスタミナ切れでボールが甘くなっていましたが、
チームの流れを損なわない「勝てる」ピッチングをしていたと思います。
この調子で決勝も戦い抜いてもらいたいです。
松坂投手がいた時のように突出した選手はいませんが、全員野球で頂点を目指して欲しいです。





第二試合 広陵(広島) 5−1 東洋大姫路(兵庫)

(広)西村(9回)
(姫)アン(9回)
広陵
姫路

引き分け再試合延長戦を戦い抜いた東洋大姫路のアン投手は最後まで粘り強く投げていきましたが、
広陵の上位打線に捉えられて敗戦となりました。
広陵の西村投手はノビのあるストレートを武器に東洋大姫路打線を1点に抑え、
エースらしいナイスピッチングが光る試合だったと思います。

まずは1回表、1番上本選手がヒットでで出塁しますが、続く打者が送りバントを失敗。
けれどこれを3番藤田選手が高目を合わせてエンドランレフト前ヒットでミスを帳消しにします。1アウト1・2塁。
4番白濱選手の所でダブルスチールをかけますが、3塁アウトで2アウト2塁とまたミス。
しかし再びバッターの白濱選手がワイルドピッチの後にライト線へタイムリー2ベースヒットで先制。
その後はアン投手が絶妙の牽制を見せてタッチアウト。なんとか1点で乗り切ります。

その後は両チームともにチャンスを作りますが、両投手ともに粘りの投球を見せます。
2回表に広陵は6番安井選手がカーブに付いていきセンター前ヒット、
1アウト後に8番打者の所で盗塁、フルカウントから四球でピンチを広がるも最後は三振で乗り切ります。
2回裏は東洋大姫路が5番福永選手が四球で歩く、続いて送りバントで送球が少し逸れてオールセーフ。
けれど1アウト1・2塁のチャンスで7番佐藤選手が空振り三振、
さらに2塁ランナーが飛び出して牽制で刺されるという東洋大姫路の拙い攻めで無得点。
3回表広陵は1番上本選手が高めカーブを打って出塁してチャンスを作るも、最後は三振。
3回裏は四球でランナーが出て、1番原選手のショート内安打でチャンスを作りますが、
最後は広陵の西村投手が3番アン選手に対してインハイストレート後のインロースライダーで三振。
アン投手は悪いながらも丁寧なピッチングで、
西村投手はランナーを出してから素晴らしいコースに決めて凌いでたのが印象的でした。

試合が動いたのは5回表、1アウトから2番片山選手が詰まりながらも左中間へ2ベースヒットを打ち、
3番藤田選手が高めストレーを打って左中間タイムリー2ベースで追加点を上げます。
けれどワイルドピッチ後、スクイズが小フライになって併殺打。またも1点で終わります。
ただこのミスの後を西村投手がしっかり三者凡退に抑え、試合の主導権を渡しません。
6回表には2アウトから7番原選手がセンター前ヒット、8番西村投手がサード強襲ヒットでチャンスを作り、
9番打者のショートへの打球をトンネルしてしまうエラー。手痛い1点が入ります。
ただ続く1番打者のショートゴロでは抜けそうな打球に追いつくファインプレーで最少失点で終えます。

6回裏には東洋大姫路は四球からチャンスを作りますが、
4番前川選手の良い当たりを西村投手が叩き落して投手ゴロにするファインプレーでまた無得点に終わります。
逆に広陵は7回表にエンドランを絡めて、6番安井選手のレフト前タイムリーで追加点を上げ、
9回表には1番上本選手が右中間へ3ベースヒットを放ち、続く2番片山選手がタイムリーヒットでダメ押し点を上げます。
けれど7回表には見事な中継プレーで2塁ランナーをタッチアウトにしたり、
9回表ではアン投手が空振り三振で乗り切るなど最後まで諦めず、最少失点に抑えていたのが見事でした。
東洋大姫路は3番アン選手が意地のセンター前ヒットを放ち、
5番福永選手が粘った後にライトオーバータイムリー2ベースを打つなど追い上げますが惜しくも1点止まり。
広陵が東洋大姫路に完勝しました。

負けた東洋大姫路のアン投手はさすがに疲れがあったのでしょう。
投球フォームがバラバラで、投げ終わった後の姿勢が崩れるなど状態としては最悪だったと思います。
それでも最後まで精神的に切れずに、丁寧にボールを投げていく姿に延長再試合を通じた精神的成長を感じました。
アン投手は技術的にも、精神的にもこの甲子園大会で一番成長した投手だと思います。
夏に向けてチーム一丸となり、練習に打ち込んで欲しいです。

勝った広陵の西村投手はストレートのノビ・球威ともに素晴らしく、カーブを上手く使って緩急つけるなど文句なしでした。
投球フォームは体のタメ・下半身の使い方ともに良く、コントロールの安定感はここから来てるようです。
球速的には140キロ台に届いていませんが、全力投球では生まれないボールのノビが素晴らしく、
球速表示以上の速さがあったように思います。
ただ時折コースを狙いすぎてカウントを悪くしてしまう所があるので、そこを治せばもっと安定感が増すでしょう。
打線では1番上本選手を始め、2・3・4番打者が2安打以上で打点を上げるなど活躍が目立ちました。
休みで投打のバランスが良くなっているようですし、優勝目指して頑張って欲しいです。




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