センバツ甲子園大会 5日目

第1試合 遊学館(石川) 16−8 近大附属(大阪)

(近)中村(1回1/3)−松木(2回1/3)−中原(4回1/3)
(遊)小嶋(6回)−旅(1回1/3)−小嶋(1回2/3)
近大
遊学館 × 16

試合展開としては先日とほぼ同じ感じでしょうか。
違いは序盤のチャンスを遊学館がものにして大量得点を挙げたという事ぐらい。
あとは序盤に遊学館打線が爆発し、終盤に近大附属打線が追い上げるという同様の試合展開でした。
近大附属の残念だった点は、エラーが多かったこと・機動力が使えなかったことです。
序盤のエラーが大量失点に繋がるという悪いパターン。
さらに先日の試合で見せた機動力を使う機会がなかったことが相手にプレッシャーをかけられなかった一因でしょう。
逆に遊学館としては1番打者の永松選手を抑えて、近大附属のパターンにしなかったことが勝因だと言えます。
勝った遊学館の誤算としては小嶋投手の調子が上がらなかったこと、小嶋投手を再リリーフさせたことでしょう。
試合後の談話によると3回辺りに足が攣ったらしく、我慢の投球が続いてしまったようです。
そして本来なら休ませてあげたい所を旅投手が打ち込まれて再登板…これは誤算でしたね。
旅投手は緊張のためか、独り相撲で4つの四死球を出してしまったので、今日のことを反省し、頑張って欲しいです。

今日は遊学館の選手ばかりに目が行ってしまいました。
中原投手は好投しましたが、出かけていて見てないので…すいません。
打者ではずばり1〜4番まで。門前・濱村・中山・行田選手。そして小嶋投手です。
小嶋投手は立ち上がりから既にコントロールがイマイチでした。
特に変化球のコントロールが定まっておらず、苦しいピッチングだったと思います。
その怪我をしたという3回からの印象は「点差が空いて手抜きしてるのかな?」という感じでした。
最後まで怪我という印象は受けませんでしたね。
昨日のダルビッシュ投手は7回の連打時にすごく苦しそうな表情をしていたので変化が分かりましたが…
相手に怪我を悟られないように投げる所は凄いなと思わせてくれます。
とりあえず怪我を治して、万全な形で投球をしていって欲しいです。

で、こちらも怪我持ちの1番センター門前選手。足を痛めていたということですが(歩けないほど)…
あんなに走って大丈夫なんでしょうか? こちらも状態が気がかりです。センバツですから無理せず頑張って(両立しないか(^^;)
今日は6打数4安打2打点1盗塁の活躍を見せてくれました。1打席目からアウトローを流し打って左中間3ベースヒット!
グリップの位置が標準でヘッドが下がらず最短距離で出てくる打撃フォームはさすがです。
反対方向に強い打球が打てますし、打撃の軸がしっかりしている選手です。今後も要チェック!
2番に入った2年生ライトの濱村選手は甘い球を見逃さず、5打数4安打5打点2盗塁の大活躍を見せてくれました。
主に引っ張りの打撃でしたが、バットがすんなり出てくるのは好調の証のようですね。
3番の2年生、サードの中山選手も先日に引き続いてのナイスバッティング。3打数2安打1打点2四球でした。
構えた時のグリップの位置が低めで、重心が全体的に低く、懐に引きつけて打つスタイルなのでしょう。
今後は高めへの対応を中心に見ていきたいです。
4番ファーストの行田選手はパワーを見せてくれました。
インハイストレートを力負けせずに左中間へ走者一掃のタイムリー2ベースを打ったのはお見事!
ボールを呼び込んで打っている印象がありますね。
ただやはりパワーだけでなく、落ちる球をセンター前に基本通り運ぶ器用さも伺えたので、レベルの高い選手だと思います。

NHKの解説の方も放送で仰ってましたが、遊学館の打者は目的意識を強く持って野球やっているようです。
打球の方向やケースバッティングができていますし、個々の技術力が相当高いです。
このチームにさらなる力強さがでてくれば、最強のチームが誕生するのでしょうね。



第2試合 花咲徳栄(埼玉) 4−3 秀学館(熊本)

10 11 12 13 (秀)上農(12回1/3)
(徳)福本(13回)
秀学
徳栄 1×

実は7回辺りに寝ちゃって試合の中盤はよく知らないんですよ、これがまた(爆)
起きたら試合が続いててびっくり。ここまでの熱戦になるとは思いもよりませんでした。
よく分からないのが立ち上がりの花咲の福本投手のピッチング。
ストレート主軸で投げたいのは分かるんですけど、失点してまでも頑固に続けるのかなぁと。
9回以降は完璧なピッチングを披露したようですし、序盤から変化球を混ぜてれば楽に勝てたような気もしますが…
まぁ、緊張や調子とかもありますし、そうやって9イニングで勝つよりも大きなものを得たと思うので良しでしょうね^-^;

この試合は秀岳館の上農投手と花咲徳栄の福本投手に尽きますね。
上農投手はオーソドックスなフォームから130キロ前後のストレートと変化球をコースに投げ分ける投手です。
最後まで乱れなかった制球力は素晴らしかったです。
秋季大会では完投がなかったらしいですが、今日のようなピッチングができればチームの大黒柱になれるでしょうね。
負けはしましたが投げ切れたことを大きな自信としてもらいたいです。

花咲の福本投手は延長戦になってからの方が球に力が行っていました。
立ち上がりから140キロ前後のストレートを投げて打者を圧倒してましたが、
ややコントロールがアバウトだったために打者に狙い打たれていたように感じます。
逆に変化球が多くなった中盤はストレートの伸びはそれほどでしたが、
延長になってから肩の力が抜けたのか腕がよく振れていてストレートも変化球も良くなっていったように見えました。
投球フォームとしてはやや機械的で、フラミンゴ投法というか、足でピッと立って投げる投手です。
顔もなんとなく似てたせいか、寝ぼけてたせいか分かりませんが(爆)、西武の後藤投手に見えましたね、なんとなく。
バックスイングが良くて、それが伸びのあるストレートを生んでいたように思います。
コントロールがまだアバウトな投手ですが、延長戦のように投げ込んでいけば良くなると思います。
変化球はスライダーがなかなかだったと思います。
今日の1勝は彼にとってただの1勝ではない、大きな1勝だったと思います。
延長のピッチングを忘れずに、今後生かしていってもらいたいですね。



第3試合 東洋大姫路(兵庫) 4−2 岡山城東(岡山)

(城)高淵(8回)
(姫)アン(9回)
城東
姫路 ×

試合展開はリズムある好ゲームでした。
勝敗を分けたのは東洋大姫路の藤田監督が仰ったように5回1死2塁の2番大西選手のセーフティーバントでしょう。
見てる人全てが「あっ」と驚く意表突くバントだったと思うんですが、これが上がってしまいファーストへの小飛球…
けれどこれをファーストの花房選手が落球してしまいオールセーフ。
その後のアン選手の犠牲フライ、前川選手のタイムリーとなっていきました。
もしあの打球を取っていたなら、あの2点はなかったことでしょう。それだけ大きなワンプレーでしたね。
勝った東洋大姫路はアン投手に目が行きがちですが、守備の堅さに目に付きます。
サードの福永選手の打球処理、ファーストの二見選手の掬い上げる技術など随所でアン投手を盛り上げていました。
地味ながらもまとまってきている良いチームだと感じました。
負けた岡山城東は牽制の上手いアン投手のフォームを上手く盗む積極的な走塁が目に付きました。
相手の意表を突く攻撃もしかけてきますし、藤田監督が仰ったような数字に現れない強さがありました。
試合前に成績を見た時は「これで中国大会を制覇したの?」と疑問符が付いてましたが、試合を見て納得です。
夏に向けてバッティング能力が向上していけば、素晴らしい機動力を合わせた強いチームになるでしょう。今後に期待です。

目立った選手は東洋大姫路のアン投手と4番ライトの前川選手です。
アン投手は1年夏に見た印象とは全く違っていました。
当時は柔らかな印象が強かったんですが、今日は力感溢れるという表現がピッタリのピッチングをしていました。
ストレートに威力があり、130〜135キロぐらいですが伸びを感じるストレートは素晴らしかったです。
今大会の左腕投手の中ではストレートが1番いいんじゃないでしょうかね。
ただコントロールにばらつきがあって、時折乱れて四球を出してしまうのが課題でしょうか。
今日見た感じでは変化球の制球は悪くないように見えるので、ストレートが抜けた時に意地になって続けず、
変化球を使うことでカウントを立て直して行けば波がなくなるんじゃないかと思いますが…どうなんでしょう?
ややストレートにこだわる所があるので、臨機応変に投げられれば面白いと思います。
けど花咲徳栄の福本投手もそうでしたが、
あれだけストレートを続ける投手が近年いないので見てるほうとしてはワクワクします。
アン投手はストレート一本で勝負できる左腕の本格派投手ですね。
変化球は縦に落ちる大きなカーブがいいですね。コントロールされてるので球種としては一級品だと思います。
他にはスライダーを投げていました。あと7回辺りに110キロ台の変化少ない球を投げてましたが、あれはなんでしょう?
スライダーというには横に変化しませんし、カットボールならもう少しスピード出ますし…チェンジアップあたり?
投球術という面では左打者のインコースを大胆につける辺りが素晴らしいと思います。
コントロールがアバウトでも、そこを見せておけば打者は打ちづらいもの。
そこがストレートで勝負できる所以でしょう。

4番ライトの左打者、前川選手は4打数2安打3打点の大活躍を見せてくれました。
足を少し上げる打撃フォームで、最初見た時はインコースが不安かなと思いましたが、
2本目のタイムリーはベルト付近の球を引きつけて打っていたので問題ないようです。
ストレートにはタイミング合わせやすいようですから、今後は変化球への対応を中心に見ていきたいです。




第4試合 明徳義塾(高知) 6−0 斑鳩(奈良)

(斑)牛島(7回2/3)−梶川(1/3)
(明)鶴川(9回)
(本)松原(明徳8回3ラン)
斑鳩
明徳 ×

たぶん言っても分かってもらえないと思うんですが、斑鳩って強いですよね。
前の試合が21世紀枠の柏崎でロースコアだったために注目されませんでしたが…
失礼だけど百回戦ったとしても斑鳩が百回勝つような気がします。
おそらく数を重ねれば重ねるほど斑鳩は強くなるでしょう。斑鳩のバッテリーと監督にはそんな強さを感じます。
あー、今速報見たら明徳の圧勝とか書かれてるし…斑鳩の野球の面白さを分かってくれよ〜(涙)
このチームのバッテリー、本当に頭脳的なピッチングをします。
相手打者をよく研究しているというか、攻め方のパターンを試合の中で上手く構築してるんですよね。
そして守備のポジション取りも上手です。投球に裏打ちされた計算された守備位置取りをしています。
一言で言えばID野球ですよね。飛びぬけた選手はいないのですが、見事な野球をするチームだと思いました。
たぶん斑鳩は強くなるでしょう。この甲子園での経験をステップにして強豪への道を歩んで欲しいです。

試合の勝敗を分けたのは5回表でしょう。この場面がこの試合全てを象徴します。
2アウト2塁でバッターは牛島選手。ジャストミートで打球はライト前へ痛烈なライナーのヒット!
2塁ランナーは一気にホームを狙うもライトの伊藤選手の好返球に阻まれて、間一髪ホームタッチアウト!
ここまで先制はされていたものの、斑鳩の牛島投手の見事な投球で強打明徳を抑えていただけに流れは斑鳩でした。
けれどこのワンプレーが明徳に流れを呼んだ気がします。
もしも同点になっていたなら、明徳に焦りが出て早打ちすることも考えられます。
それだけに勝敗分けたプレーだと言えるでしょう。
ただ明徳はこのシーンだけでなく随所に安定した守備を見せていました。
ショートの松原選手にサードの梅田選手、打球を確実に処理する堅実な守備は見事でした。
この守備力が明徳の勝因だったと思います。
あとは6回裏のセーフティースクイズ。それを決めるだけのバント能力はさすがといった所。
今日も8回に松原選手のホームランが出たので、強打の明徳のイメージが強いですが、
こういう卒のなく攻撃できる所が明徳の本当の強さだと思います。

目立った選手は…色々いるので簡単に。
明徳打線では松原・沖田・山口・梅田選手、斑鳩打線では先日に引き続き水田選手です。
1番ショートの2年生、松原選手は先輩である森岡選手(中日)のような打撃フォームで鋭いスイングをしていました。
1打席目のヒットといい、ホームランといい完璧。見事なバッティングでした。
3番センターの沖田選手は相手バッテリーに上手く攻められていましたね。
大きく膝を折った打撃フォームなので相手バッテリーが内角を上手く攻めていました。
けれどそれを引きつけて詰まりながら1・2塁間にヒットを打つ辺りはさすが。
次の打席ではバッテリーが攻め辛そうにしてたのが印象的です。それでもやっぱり内角への対応が気がかり。
4番ファーストの山口選手はスイングスピードが速く、フォールスローもしっかりしていました。
そのため打球速度が速く、1打席目は見事なショート強襲ヒットでした。隙がなく、良い打者だと感じましたね。
6番サードの2年生、梅田選手は右サイドの牛島投手に対して1・2打席目は左打席だったんですが、
3打席目にはなぜか右打席に変えて3塁線へヒット!
思いきりスイングするには右打席のほうがいいということなんでしょうか? 遅い球を引き付けた見事なバッティングでした。
課題としては4打席目みたいに少し引っ掛けてしまうことでしょうか。確実性を増して、良い打者に成長して欲しいです。
斑鳩の4番サード水田選手は先日の決勝打で気を良くしたのか、変化球を狙い打ってレフトオーバーの2ベースヒット!
鋭いスイングは斑鳩打線の中で目を引くものがありました。夏に向けてバットでチームを引っ張って欲しいです。

投手では明徳の2年生右腕の鶴川投手と、斑鳩の牛島投手が好投していました。
鶴川投手はバランスのいい投球フォームで、バックスイングから腕の振りが素晴らしく、
球速以上に速く見えるストレートが特徴的でした。
球速表示は135キロ前後ではしたが、それ以上に速く見えていたように思います。
変化球もスライダーがストレートの軌道でよく落ちてましたし、まとまりのある良い投手ですね。
ただ立ち上がりにコントロールがアバウトな所があったので、彼にはさらなる上を目指していって欲しいです。
牛島投手は相手のタイミングを狂わす頭脳的なピッチングが持ち味。相手打者がよく見えていたと思います。
終盤に余計なボールを投げてしまったり、ボールが甘く入った場面を打たれてしまいましたが、
それまではコントロール抜群で明徳打線を手玉に取っていたように見えました。
変化球にさらに磨きをかけ、夏でもその頭脳的なピッチングを見せてもらいたいです。




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